個人輸入品の税優優遇が来春に廃止される予定だと、新聞各紙で報道されています。財務省は輸入品の課税額が1万円以下の場合に、消費税の支払いを免除する「デミニミス・ルール」を廃止する予定です。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20251125-OYT1T50148/
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA22CC70S5A021C2000000/
「デミニミス・ルール」により、国内のEC事業者はこれまで中国の格安輸入品Temu(テム)やアメリカのQoo10などと不利な競争を強いられていました。たたでさえ安い中国からの輸入品が、個人輸入なら税制優遇されるので、特に若者がAmazonや楽天などよりTemuなどを利用する割合は、他の世代より高いでしょう。こういう不公平が多少なり是正されるので、輸入品を扱うネットショップ運営者にとってはチャンス到来です。
| 個人 | 事業者 | |
|---|---|---|
| 輸入品の消費税 | かからないので有利 | かかるるので不利 |
トランプ関税
一方で米国が小口輸入免税を廃止する動きもあります。いわゆるトランプ関税の影響です。越境EC事業者にとってはこれは苦境かもしれませんが、アメリカ以外の取引先を探して売上を分散するのが妥当でしょう。アメリカ一国に売上を依存するのは、危険です。
日本の場合、輸出先はアメリカと中国がほぼ同額で、輸入は中国がダントツです。コロナ禍の前後でもこの傾向に変わりはありません。参考までに下記に日本の中国とアメリカとの輸入金額と輸出金額をそれぞれ掲載します。
| 国名 | 2018年 | 2024年 |
|---|---|---|
| 中国 | 約173万ドル | 約167万ドル |
| アメリカ | 約83万ドル | 約84万ドル |
| 国名 | 2018年 | 2023年 |
|---|---|---|
| 中国 | 約143万ドル | 約124万ドル |
| アメリカ | 約140万ドル | 約141万ドル |
2018年と2024年を比較するだけで、中国の輸入額が減っている傾向にあると判断するのは早計でしょうが、高市氏の「台湾有事」を巡り集団的自衛権の行使が可能となる「存立危機事態」に当たるかどうかについて発言によって日中関係は急速に悪化しました。今後めまぐるしく状況が変化することになると思うので、中国、アメリカとの輸出入に関係している小売業者にとっては、日中関係の動向はもちろんアメリカのトランプ関税の動向からも目が離せません。
トランプ関税については 越境ECへのトランプ関税の影響はどの程度?「トランプ退任後もアメリカは関税は続ける」を参照ください。




