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SP-APIの「料金有料化」の影響:小規模ECはどう対策する?

早川朋孝 早川朋孝
EC専門のSE

目次

  • SP-API料金体系変更の概要
  • SP-API値上げの背景
  • Keepaやプライスターは値上げ確実
  • AIのおかげでアプリは自作できる
  • まとめ

SP-API料金体系変更の概要

AmazonのSP-APIの料金が有料となります。以下のページで公式から告知されました。
https://developer.amazonservices.com/spp-announcement

上記ページに書いてあるままですが、2026年1月31日より、第三者にSP-APIでアプリを提供する開発者に、年間1400ドルの費用が発生するようになります。もう時間がありません。なお、セラーとベンダーは今まで通り追加費用の支払いは不要です。したがって自社のセラーセントラルのアカウントでSP-APIをリクエストしているアプリを使って運用しているなら影響はありません。

問題は、他社が開発したアプリを使っている場合は、ほぼ確実にアプリの値上げがあるか、場合によっては使えなくなるということです。今回のSP-API料金体系の変更によってサービス提供元に追加コストがかかるため、その事業者が割に合わないと判断した場合はアプリのサービス提供は停止されます。この場合、アプリに依存している業務を自社アカウントのSP-APIによるアプリに切り替えないといけないのです。換言すると、プライベート開発者として開発されたアプリが必要となります。プライベート開発者の申請についてはセラーセントラルでアプリ申請をしてSP-APIでEC業務を自動化しようをご覧ください。

SP-API値上げの背景

なぜSP-APIは値上げするのでしょうか。物価高の影響でしょうか?私はサーバー管理をした経験もあるので、この値上げの背景はよく分かります。API用のエンドポイントを提供するサーバーは大きな負荷がかかります。そのためAPIサービスには負荷がかかりすぎないようlimit rateが設定されています。サーバーに負荷がかかり過ぎるとサーバー自体が停止してしまうため、そうならないためにネットワークの知識のある技術者を雇ったり、監視網をしいたりする必要があり、つまりコストがかかるのです。

いままでKeepaのようなAmazonのサーバーに負荷をかけるサードパーティーの開発元は、このネットワークコストをほとんど負担してこなかったのでしょう。こういうアプリ業者を野放しにしても、それでAmazonが儲かるならいいのですが、コストのほうが大きいと判断されてAmazon側の我慢が限界に達し、今回のSP-APIの料金発生とあいなった、と容易に推測できます。

Keepaやプライスターは値上げ確実

Keepaやプライスターは値上げ確実でしょう。利用者の多いアプリほど、今回の影響を大きく受けます。価格の推移を追ってカート価格を維持するような、Amazonでわずかな価格変化に依存するビジネスをしている場合は厳しい判断が求められます。すなわち

  • 値上げをするアプリを使い続ける
  • プライベート開発者としてSP-APIを自社開発する

の2択です。もし今まで使いづらいアプリを安いから使っていたという場合は、自社用にアプリを開発するのもありでしょう。SP-APIは自社専用にカスタマイズできます。つまり、自社の業務フローに沿ったアプリを開発できるのです。

AIのおかげでアプリは自作できる

自社用にプライベート開発者としてアプリを作るといっても、IT人材が社内にいないネットショップのほうが世の中多いでしょう。ではどうすればいいか?ここはAIの出番です。今どきChatGPTに指示すれば、プログラムのソースコードを用意してくれます。エクセルのマクロを自分で書く程度の知識がある人なら、どんな手順で何をしたいかをChatGPTに指示すれば、けっこう正確なソースコードを返してくれるので、面倒なEC業務を自動化できます。

まとめ

最後に、Keepaやプライスターなどのアプリ利用者がSP-API利用料金の値上げについて、どう対応するか、どんなメリット、デメリットがあるのかをまとめます。

選択肢 メリット デメリット
値上げするアプリを使い続けるか 業務フローに変更なし アプリ利用費用が上がる
プライベート開発者で自社開発する 自社の業務フローに沿ったアプリで運用できる アプリを自社で開発するか、外部に依頼する必要がある

今回はSP-APIの利用が有償になることについてのお知らせでしたが、無料枠が突然有料になるのはビジネスの場ではよくあることです。paypayもある程度普及したら手数料がかかるようになったし、他にもそういう事例はいくらでもあります。

楽天もYahooも、また他のモールやカートシステムも、APIを無料で提供することのメリット・デメリットと、有償で提供するメリット・デメリットを常に比較しており、虎視眈々と少しでも多く稼ごうとしているのです。サービス提供者は善意でAPIを提供しているわけではないので、その点を常に忘れないで備えるべきでしょう。

EC-Digital-WorksではSP-APIを使った業務アプリの開発を承っています。在庫、価格調査、受注、商品登録、集計など様々なアプリを開発できるので、お困りの方はお問い合わせよりご相談ください。

> APIを使った業務アプリの例

このブログを書いてる人
早川 朋孝 EC専門のSE
IT業界歴20年のエンジニアです。ネットショップ勤務で苦労した経験から、EC・ネットショップ事業者に向けて、バックオフィス業務の自動化・効率化を提案するSEをしています。
Web運用の経験もあり、アクセス解析、広告運用が得意で、広告APIとプログラムとの合わせ技で並の広告代理店にはできない提案が可能です。
プロフィール
EC業務のDxの相談のります
趣味は読書、ピアノ、マリノスの応援など

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