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「ネクストエンジンの在庫連携ができない」という人へ【重要ポイント】教えます

早川朋孝 早川朋孝
EC専門のSE

「ネクストエンジンの在庫連携ができない」とお悩みではありませんか?

本記事ではそんなネクストエンジンの在庫連携で苦労している方に向けて、30社以上に導入、運用をサポートしたSEが在庫まわりの問題を解決するポイントを解説していきます。ネクストエンジンは機能豊富で便利ですが、ITシステムに詳しくない人が初期設定をしたり使うのはけっこう難易度が高いです。また、私自身がそうだったのですが、「システムとはこういうものだ」という利用者の思い込みで使いこなせていない可能性もあります。そんな使いこなすのを邪魔する点や盲点を説明し、あなたがネクストエンジンを使いこなせるように、説明していきます。

目次

  • モールやカートごとの初期設定は確実にするべし
  • 在庫連携は差分が発生したときのみ相対値で処理される
  • ネクストエンジン在庫連携のタイミング
  • 在庫の監視はするべき
  • 在庫APIについて
  • 商品数が多い場合の在庫検証方法

モールやカートごとの初期設定は確実にするべし

ネクストエンジンの在庫連携を使いこなす最重要事項は初期設定です。マニュアルを完全に理解できるまで何度も熟読しましょう。特に「必読」と記載のあるマニュアルは利用するうえでの前提事項なので必ず把握しておきましょう。理解できない場合は電話のサポートもあるので、窓口の人に質問しましょう。電話はけっこうつながりやすいみたいです。

また、モールやカートごとに設定が異なるので注意してください。例えば、楽天の在庫連携はすでにできていて、後からカラーミーを追加したというような場合、カラーミーの在庫連携が必要です。「受注データが入ってきているから在庫連携もできているだろう」というようなのは思い込みです。受注連携と在庫連携は別の設定が必要です。

楽天との在庫連携はAPIで楽天ですが、他のモールやカートも同様に簡単とは限りません。カラーミーの場合は紐付けが必要ですし、AmazonのFBAを利用している場合、正確な在庫連携には有償のアプリが必要です。ネットショップごとに運営しているカートやモールは異なるので、注意しましょう。

検証しよう

初期設定が確実にできたら、次はテスト注文などで必ず検証しましょう。例えば楽天とShopifyを運用しているとして、楽天の商品Aの在庫が10、Shopifyとネクストエンジンでの在庫も10であることを確認し、楽天で1点注文すると、まずネクストエンジンでの商品Aの在庫が1点引かれ、それがShopifyにも反映されます。状況によりますが、だいたい10分くらいで在庫連携がなされます。

この時点で在庫連携ができていない場合、初期設定に誤りがあるのでマニュアルと設定を見直しましょう。

在庫連携は差分が発生したときのみ相対値で処理される

ネクストエンジンの在庫連携は差分が発生したときのみ相対値で処理されます。例えば商品Aのネクストエンジンでの在庫が10で、楽天での在庫が8だとすると、ネクストエンジンでこの商品Aの在庫が動かない限り、ずれたままです。また、ネクストエンジンでの在庫が9になった場合、差分の1のみが楽天の在庫から引かれるので7になります。つまり、ずれがある場合は放置していればずれたままです。在庫数が絶対値で自動補正されて上書きされることはないので注意しましょう。

在庫ずれの修正方法

ネクストエンジンと楽天などのモール間で在庫にずれがある場合は修正が必要です。修正方法は主に二つあります。

  • モールやカート側の管理画面で在庫を修正する
  • ネクストエンジンの棚卸し機能を使う
モールやカート側の管理画面で在庫を修正する

楽天ならRMSで、商品の在庫を個別に修正しましょう。ネクストエンジンではモールやカートの受注データを取り込むことで在庫がひかれるので、商品管理で在庫を増やしても問題ありません。ただし、この方法は手作業だと間違える可能性があり、特に商品数が多い場合は現実的に不可能でしょう。在庫のズレを訂正できるのは商品数が少ない場合の運用に限られるでしょう。

ネクストエンジンの棚卸し機能を使う

ネクストエンジンには棚卸しという機能があり、この機能を使えば在庫数を絶対値で上書きできます。上書きされた在庫数と元の在庫数の差分が各モールに反映されるので、在庫のズレをうまく訂正できます。ただし、この棚卸し機能は気軽に使えるものではありません。フリー在庫と引き当ての違いを理解していないような人が棚卸し機能を使うと、よけいずれる可能性が高いです。

棚卸し機能を使うのは、実在庫や注文が動いていないタイミングで実施しないと意味をなさないので注意してください。特に、ある程度の規模を超えるネットショップの場合はネクストエンジンの棚卸し機能は気軽にできるものではありませんのでご注意ください。

ネクストエンジンの在庫連携のタイミング

在庫連携のタイミングは、注文がネクストエンジンに入ってくるのがだいたい5分以内くらいで、そこから数分以内に他のモールやカートに在庫が反映されます。私の観察している限りですが、ネクストエンジンの在庫同期はだいたい10分おきに300件くらいが上限のようです。これを超える処理が必要なほど取引額の大きいネットショップが、正確な在庫を反映させたい場合は、ネクストエンジンの専用サーバーで使うカスタマイズ契約や、または別の在庫連携システムを独自に開発するなどの措置が必要でしょう。

在庫の監視はするべき

在庫のずれをどこまで許容するかによりますが、厳しく運用したい場合は監視が必要です。

原子時計のようなどんな正確な時計でも、いつかはずれます。ましてネットショップの在庫は簡単にずれるものです。在庫がズレるのは当たり前で、それを与件に運用を設定しないといけないです。在庫のズレを起こさせないのは不可能なので、ズレることを前提に監視などをするのがいいでしょう。

ちなみに、在庫連携に限らず、システムは運用の精度を高めようとすればするほど費用が指数関数的に高くなります。精度がない状態から80%くらいまでに高めるだけなら、安価かつ短時間にできますが、これを90%、95%、98%、99%、99.5%、99.6%、99,7%、99,8%、99,90%、99,91%、、となるほど高くなり、100%になることはありません。だから上述の通り「ずれをどこまで許容するか」が大事なのです。

在庫の監視は小規模ならエクセルで間に合うでしょうが、商品数が数千を超える場合はAPIなどを使うのが無難です。APIを使えばCSVのダウンロードやエクセルの関数などは不要で、自動で差分を抽出してくれます。ただしAPIの利用にはアプリを用意しないといけないので、あなたがプログラムの知識があるならChatGPTなどに指示して自分で用意すればいいでしょうし、できないなら詳しい人に相談しましょう。

在庫APIについて

倉庫や商品の発送元が複数あるなどの複雑なEC運用をしている場合、在庫管理のためにAPIの利用は必須です。ネクストエンジンの在庫APIはCSVアップロードする形式のみで、どの拠点の在庫を更新するかを指定できます。APIであっても在庫の更新は相対値のみなので注意が必要です。

商品数が多い場合の在庫検証方法

在庫の検証はAPIを使うか、APIアプリがないならCSVをダウンロードして手作業ですることになります。私の経験上、エクセルでも24万行程度の在庫データならvlookupなどの関数で数分で検証できます。マクロを使えるならもっとはやく済むでしょう。エクセルの場合、データ行数が多いとパソコンの性能にも左右されます。また、CSVを扱うのに慣れていないと、そもそも検証結果そのものに誤りが発生することもあります。

したがって商品数が数千を超えるならAPIを使うとか、詳しい人にマクロを組んでもらうのがいいでしょう。また、いまどきChatGPTに要件を伝えれば必要なマクロのソースコードを用意してくれます。生成AIもどんどん活用しましょう。

> APIを使った業務アプリの例

このブログを書いてる人
早川 朋孝 EC専門のSE
IT業界歴20年のエンジニアです。ネットショップ勤務で苦労した経験から、EC・ネットショップ事業者に向けて、バックオフィス業務の自動化・効率化を提案するSEをしています。
Web運用の経験もあり、アクセス解析、広告運用が得意で、広告APIとプログラムとの合わせ技で並の広告代理店にはできない提案が可能です。
プロフィール
EC業務のDxの相談のります
趣味は読書、ピアノ、マリノスの応援など

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