2026/1/23の日経新聞にWebブラウザにAI企業が参入している記事が出ていました。
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC253AS0V21C25A2000000/
AIを搭載する「AIブラウザー」は利用者の指示にそって検索や入力といった作業を代行する、エージェント(代理人)機能をもつ。
実力はどの程度か。情報セキュリティーを手掛けるテリロジーの協力を得て、オープンAI「ChatGPT Atlas(チャットGPTアトラス)」に旅行予約の作業を任せてみた。
アトラスはサイト訪問中にチャットGPTを呼び出せ、指示すればAIが作業をこなす。2人で東京から福岡市に旅行する予約の手続きをしたいと打ち込んだ。条件は日程と「安くしたい」と曖昧に指定してみた。
手続きまでの作業、5分ほどで完了
アトラスに作業の許可を与えると、飛行機や宿の検索作業を進めた。6件のサイトを巡回し、5分ほどで個人情報の入力や入金などの手続きの手前まで作業を進めた。
このAIブラウザはEC運用の面倒な業務を人の代わりに担ってくれるのか?RPAの代わりになるでしょうか?
現時点ではノー。
今はAIブラウザはRPAの代わりにはならない。その理由を説明しましょう。
目次
- 現時点でAIブラウザはRPAの代わりにはならない
- AIは間違える可能性をゼロにできない
- まとめ
現時点でAIブラウザはRPAの代わりにはならない
上記引用記事を読んで分かる通り、また実際にAtlasで試せば分かる通り、現時点でのAIブラウザはブラウザでの作業を代行するものです。例えば楽天市場に出品している商品を100件を販売価格を仮にAIブラウザが変えることができるとして、商品ページに100回アクセスして、100回のデータ入力をして、100回登録ボタンを押します。つまり人が手作業でする工程を、そのままブラウザが自動でやっているだけです。時間もかかります。
楽天のAPIを使ってRPAすれば、100点の商品の価格変更はhttpリクエスト1回で済み、秒で終わります。
繰り返しますが、AtlasのようなAIブラウザ作業の代行をしているだけです。一方RPAはAPIを介してECモールのサーバーのデータを編集します。仮にAIブラウザが作業代行に成功したとしても、RPAと比較した場合、結果だけ見れば同じようなものですがその過程はまったく違うのです。
AIは間違える可能性をゼロにできない
いまのAIは統計に基づいて処理をしています。どんなに性能がよくなってもこの原則は変わりません。統計に基づいている以上は、統計的に有意なことが起きた場合に、対応できない可能性が出てきます。しかもおそろしくトンチンカンなことをする可能性が高い。これは統計の基礎的な勉強をした人か、あるいは『ブラックスワン』など読めばよく分かります。ECの単純な反復業務で間違いがあってはたまったものではありません。
AIブラウザのセキュリティの問題
AIブラウザにはセキュリティの不安もあります。RMSやAmazonのセラーセントラルのログイン情報を安心して預けられるでしょうか。そもそもAIブラウザが二段階認証をどう突破するのでしょうか。
資本主義の理論を考慮すると、OpenAIのような企業が仮にAPIなどの秘匿情報を手に入れたら、AIの性能向上のために最大限利用する可能性が高いでしょう。いくら表で安全、安心をうたっていても、裏で何をしているか外からは分かりません。
いっぽう、RPAは定期的に更新されるAPIキーを管理可能なサーバーなどに保存するので、基本的に安心して使えます。
まとめ
あくまで現時点では、AIブラウザによるEC業務の代行は現実的ではありません。API連携やRPAのほうが無難です。そして今も将来もAIは万能ではありません。過信しないことが肝要です。
最後にAIブラウザとRPAの違いをまとめておきます。この表はEC業務に限定したRPAではなく、他のRPAされた業務にも言えることです。
| AIブラウザ | RPA | |
|---|---|---|
| 作業時間 | かかる | 短い |
| 安全性 | 危険性を否定できない | 基本的に安全 |
| 間違える可能性 | あり得る | 絶対にない(RPAをちゃんと作っていれば) |




